
前回は、幼児ものの作品に関わらず、父から託された「星のしずく」を自分の星に持ち帰り、悪党と闘う設定が、いかにもヒーロー作品を創り続けた、石森らしい設定だと書きました。
そのようなヒーローもの的設定でありながら、ちゃんと作者は、幼児受けするように考えています。
まず、チョビンのキャラクターが小さくて可愛らしい。子供たちが犬や猫を可愛がるように、ペットのような存在に仕立てています。
地球上でのチョビンは、ルリという少女の家に住まわせてもらい、人間との交流を女の子にしていることなど、子供たちの共感を呼ぶように考えていますね。
しかもデザインがシンプルです。これは、幼児受けする作品のキャラクターとしては鉄則だと思います。何故なら、簡単に子供たちが描けますからね。「アンパンマン」も「ドラえもん」も、大ヒット作品のキャラクターはみんなそうです。
あと、舞台になるトンカラ森のお友達が、動物たちというのも子供心をくすぐるでしょう。
ミッキーマウスしかり、動物が人間のように擬人化させて可愛らしいデザインに幼児は飛びつきます。動物園が好きなように、その種類が多ければ多いほど、子供たちは喜ぶものです。
ただ一つ思ったのは、動物以外にもユニークなキャラクターを多数作ったらどうなったかなぁ、と。例えば、フェアリー星の友達も登場させたりして、しかも、デザインがユニークな者だったら、もう一つ子供たちの反応は違ったかもしれません。
近年、うちの子たちは『小人図鑑』にハマっていました。奇怪な小人達の捕獲の仕方や育て方は、実際の図鑑のように真面目に記しています。大人の僕すら本を開くと、「なんじゃ、こりゃ」と超インパクトで、読んでいて楽しかった。大人でさえ面白がるくらいの奇怪で奇抜なデザインに子供たちは飛びつきます。そう思うと、初代「仮面ライダー」のバッタをコンセプトしたデザインが受けたのも頷けます。
近年では「アンパンマン」の面白おかしい数多くのキャラクター達や「妖怪ウオッチ」の妖怪たちも、しかり。このような奇抜で面白い者がわんさかいる方が子供たちは心奪われます。
