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「サイボーグ009 ベトナム編 前編」

 

 

作品をエッセー風に解説して欲しいと依頼を受けまして、こうして書いているのですが、せっかくなら人に余り知られていない作品をご紹介したいと思っておりました。しかし、いきなりのビックタイトル(笑)ただ今回は、ベトナム編に限定させて頂きます。この辺が、ちょいとコアですが(笑)

サイボーグ009という作品は、石ノ森章太郎という作家の代表作なのは説明するまでもないのですが、これほど多くの雑誌で連載をし、長きに亘って続いた作品は稀ですし、僕自身もこの作品の完結編に関わらせて頂いたので、大変に思い入れがございます。一度では語りきれないと思いますので、サイボーグ戦士たちの多くの闘いは、今後随所で感想をしたためたいと思っておりました。その思い入れのある作品を最初に語るのに、普通だったら、「誕生編」とか「地下帝国ヨミ編」とかチョイスするでしょうね。009ファンの皆さんだって、もし作品を語り始めるなら、其処からお話しするでしょう。

 

しかし僕は、ベトナム編―。実はですね、どうしても、この作品の事で言いたかった事があるんです。こういう公の場所で―。その言いたかった事は、後程お話ししたいと思いますが、もう一つ、実は理由がございます。それまで、サイボーグ009という作品は、黒い幽霊(ブラックゴースト)団という軍需産業でもある悪の組織との対立がメインでしたが、このベトナム編で、初めて当時の世相を反映させたリアルな戦争をモチーフにしているのです。当然黒い幽霊団も絡んできますが、東西冷戦問題に、サイボーグ戦士たちも加わるという画期的な物語だったと思います。

いつぞや、サイボーグ009の事で、取材を受けた時に、「ベトナム編を書いた当時と違い、平和な現代を舞台にした完結編で、009特有のメランコリックな魅力を出すのは難しくなかったですか?」という質問がありました。だけど僕は、全く難しいとは思っていなかったのです。
その理由は、、、、では、また次回に。

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