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「サイボーグ009 ベトナム編 後編」

このベトナム編のプロローグでは、人類の歴史は、闘争の歴史だと説いています。人々が争うのは本能なのか、文明進歩のためのエネルギーなのか、必要悪なのかと投げかけて始まるのです。それは、この作品を書いた東西冷戦時も、現代も何ら変わることはない、と僕は思います。中東を始め、アフリカ大陸でも内戦が絶えません。中国の海洋進出や北朝鮮などの東アジアにおける軍事的緊張しかり、世界に散らばるテロリストも、イスラム国の問題も、いつ大規模な戦争が起こってもおかしくはないほど、その火種は後を絶たないからです。

最終的に神と対峙しなければならなくなるサイボーグ戦士たちは、“誰がために闘う”という大命題を常に背負っていますが、それは人類にも当てはまることです。人は誰がために闘うのか、それをプロローグで真っ向から突き付けたのが、このベトナム編だったと思うのです。

ところで、どうしても言いたかった事ですが、このベトナム編で、黒い幽霊団が用意したブラックモンスター号という、蜘蛛のような足を持つ戦闘車があるのです。後半は幾十の蛇型のロボット兵器が、そのモンスター号と合体して、それがタコの足のように動きます。実は、ディズニーの『Mrインクレディブ』というアニメ映画に、そっくりな兵器が登場するのですが、僕はそれを観た時、思わす「ベトナム編だ!」と叫びそうになりました。パクリとは言いませんよ。海外のクリエイティブな仕事をしている人は、日本のマンガやアニメに、多大な影響を受けているんだと、改めて実感したのです。

でも石ノ森マンガファンの方で、『Mrインクレディブ』をご覧になって、僕と同じような衝撃を受けた方は、何処かにいらっしゃらないですかね?ああ、この衝撃を、誰かと分かち合いたい(笑)

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