子供の頃はどうしても、サイボーグ戦士の中でも、ジェットやハインリヒのようなカッコいいキャラクターに目が行きがちですが、この歳になってくると、007グレートブリテンのような人間に、味わいを感じてしまいます。特に自分も役者なんで、こういう生活が荒れ、常に呑んだくれているダメ役者をたくさん見ているせいか(笑)、余計に感情移入が出来るんです(笑)ブリテンや張々湖は、完全なサブキャラですからね。ゴレンジャーのキレンジャーもそうですが、主役を引き立てるためには、絶対に必要なんです。ええ、自分もそんな役ばかりなんで、よくわかります(笑)そんなサブキャラの人たちが、主役をやる機会があるサイボーグ009の短編作品が、自分はだから好きなんです。
今回ご紹介する「父と子編」は、目の見えない息子と確執のあった父親の物語。息子の目の手術の日、事故で亡くなった父の代わりにブリテンは自分の変身能力で父親の姿になるが、息子は父を許さなかった。父の墓の前で真実を打ち明け、息子はあふれる涙の中、ブリテンに父の姿にもう一度なって欲しいと懇願する。目を瞑り泣きながら、父になったブリテンの顔を両手で優しく包み込むラストは、やはり泣けます。
欧米では、喜劇俳優が真の実力者と一目置かれ、シリアスな芝居をやらせても、どの演者よりも上手にこなします。なんとなくブリテンは、イギリスの俳優という設定だけに、そんな匂いを感じてしまいます。普段、道化に徹している者が、時折見せる真剣な眼差しは、どんな二枚目より、美しく恰好よく見えるものです。張々湖には余り感じませんが(笑)、このブリテンは時折、鳥肌が立つほどいい男に見える瞬間があります。ああ、僕も、そんな役者になりたい(笑)