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「ロボット刑事 後編」

変身をしないヒーローがコンセプトで始まった企画だったそうです。この作品のストーリー自体は、犯罪ロボットレンタル株式会社が敵として存在していますが、テレビ版では描けない事を描いています。この萬画の世界観を映画で具現化出来たとしたら、重厚な大人のヒーロー作品が生まれたに違いありません。

この作品で、一つだけ未だに強烈に覚えているエピソードがございます。それはハリウッドで「ロボコップ」が製作された時、大変に石森は悔しがっていました。あれは俺のアイデアだと。

もちろんデザインも違うし、ストーリーも違うのだけど、ロボットの刑事という発想は、確かに世界中を探しても、
石森作品が最初に違いありません。ハリウッドのクリエイター達が、何処までその日本作品をリスペクトして創作してのかは定かではありませんが、世界に市場を持つ、巨大映画産業が創ったものが、パイオニアになってしまうことは事実です。

考えていたアイデアを先にやられたとしても悔しいはずなのに、テレビや映画、萬画という媒体で堂々と発表しているアイデアを、何年も後に、オリジナルのアイデアのように発表されたのは、相当に憤りを感じていたはずです。

当然、どうすることも出来ないのですが、石森はこの「ロボコップ」だけは、よほど悔しかったのか、普段身内には見せない顔と言い方で、その思いを僕に伝えました。

新しいアイデアを探す方が難しくなっているほど、本や映画、ドラマ、舞台というジャンルで作品ははち切れんばかりに飽和しています。それでも、創り手は新しいネタを求めて、七転八倒するほど苦しみながらアイデアを出すのです。その経験をしているからこそ、石森は、自身のアイデアに誇りや自信を持っていたに違いありません。僕のような小さな世界で創作していても、似たようなアイデアが出回ったら相当に悔しく思うのです。

僕はこの一件で、創作者としての石森が、自分の描いた著作に対して、揺るぎない信念を持っている事を確信しました。それは、プロフェショナルの萬画家としてのアイディンティティでもあり、プライドなのです。

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