だいたい、石森より1つか2つ世代前のマンガ家の人たちは、この本はバイブルだというくらい、ここを通ってマンガ家を目指したと聞きます。ミュージシャンや小説家やコピーライターとか、クリエイティブな仕事をしている人たちも、一時マンガ家を目指していたと聞くことが多いのです。皆さんの多くは、やはりこのバイブルを抱えて、マンガ家を目指したと言います。皆さん口を揃えて「勘違いした」と言う気持ちは分かりますね。
石森が書いた作品を模範台にし、手取り足取り教えてくれる。これを読むと、本当にマンガ家に成れるような気がしちゃうんですよ。素晴らしいマンガを書ける気にさせてくれるんです…でも、これって、入門書のあるべき姿だと思うのです。夢を持たせて、背中を押してくれる気持ちになる入門書なんて、なかなかありません。
かく言う自分は、幼いころは遊びでマンガは書いておりましたが、絵が下手なのを自覚し、早々に諦めて、小学2年生の時は、役者になろうと思いました。そのことを伝えたら、石森は、チャップリンのビデオを観せてくれましてね。「役者になるなら、自分で作品を創って、演じる役者になれ」と言ってくれて、その言葉が自分の現在の礎となっています。
作品を創るという意味では、戯曲も一緒で、キャラクター設定から、プロット創作、物語の展開の仕方、紙の上と舞台の上の差はありますが、物語を創作する上で、石森のマンガ家入門は、確実に自分のバイブルになりました。
ここだけの話、009の小説を書くときに、石森のお弟子さんの一人に、すがやみつる先生がいらっしゃいますが、最近は小説も書かれている先生が「マンガでわかる小説入門」という本を出されて、本屋で目にして、思わず買いました。もう、どれだけ小説家になることが大変でシビアかという事を訥々と説かれてまして、おかげで勘違いせずに小説を書くことが出来ました(笑)。
師匠が書いたマンガ家入門を読んでマンガ家になられたすがや先生が、感じて書いた入門書、きっと先代の入門書が反面教師になっていたかと思います(笑)ジョークですよ(笑)すがや先生、ごめんなさい(笑)