TVのアニメ制作や映画制作を手掛ける唐澤さん。経験豊かなクリエイターに制作現場のお話を伺いました。クリエイターを目指す皆さん必見です。唐澤さんは映像特殊効果のスペシャリスト。「CYBORG009 CALL OF JUSTICE」でも、さまざまなソフトウェアを行き来して適切な演出をされたといいます。
今回制作で苦労された点を教えてください。
今回はトゥーンの表現と、現代的な映像の質感の表現が苦労した点です。
他の作品とは違うと思われるところは?
よく見るとわかるんですけど、キャラクターはアニメ調の処理ですが、背景は少し実写っぽい処理をしています。
さらにその上に戦闘シーンなどのエフェクトが重なっていく。異なったアプローチを違和感なく、こうしてシリーズにわたって表現している作品は、多くはないと思います。
かなり大規模なプロジェクトだったと思います。統括するのは大変ではないですか?
今回のように規模の大きなプロジェクトだと、出来も大事ですが、多人数でのワークフローが非常に大事です。分業とそのまとめが、最終的なクオリティに大きく反映されてしまいます。ワークフロー上効率よく処理するために、合成する1枚のイメージも、実は複数の情報を持っています。そのメタ情報にはシーン管理の情報なども含まれています。
監督の意向で、一番チャレンジングだった部分を教えてください。
自分は作っている立場から見てしまうんですが、正直なことをいうと、シリーズ全体の中で馴れてきたこともあり、後半の話数の方が自信があります(笑)。
実は大変な苦労をして作られているシーンの連続であることが、お話を伺って改めてわかりました。唐澤さんが苦労されたシーン、また「自信あり!」と言われたシーンはどのあたりか、ぜひ皆さんも見つけてみてください。
小学校5年生のころにTV放送でみた「サイボーグ009 THE CYBORG SOLDIER」(2001年)から009の大ファンだった平山さん。「CYBORG009 CALL OF JUSTICE」ではエフェクトとライティングのディレクションを担当してくださいました。原作も知り尽くしたディレクターのお話をうかがいました。
まず、009という作品が平山さんにとってどのようなものか教えてください。
小さいころに読んで正直難しくてわからなかった話が、今になって読み返すと理解が深まったり、長い間楽しめる作品だと思います。
以前にも009とはご縁があったと伺いました。
「009 RE:CYBORG」公開時に神山さんが登壇するイベントがあって、(質問コーナーで)自分が手をあげたら指名されたんです。そのときに「このクオリティでTVシリーズはできませんか?」と、聞いたところ「一話目の半分くらいならできるかもね」と言われました(笑)。まさか、数年後にお仕事をご一緒できるとは夢にも思いませんでした。
実際のお仕事では様々なソフトウェアを駆使されていますが、どのように身につけられたのですか?
4年制の大学に通いながら、Maya、AfterEffectsを習得するために専門学校に通いました。そこで、デジタル映像処理の基本も学びました。今のプロダクションに就職したときは実写系のエフェクト・ライティングのスキルを身につけました。
本作でチャレンジされたことを教えてください。
エフェクトは作品を大きく左右する要素です。アングルによってはエフェクトが主役になるカットもあって、監督ともたくさん話し合いをして、スケジュール・品質のバランスを重視して仕事をすすめたところです。
時間とのせめぎあいですね。
なるべく3Dに戻らずに、合成作業でどこまで詰められるかですね。セルアニメ調で実写とは違ったエフェクトを作り上げる・・・さらに時間に追いつめられる(笑)。
ご苦労様でした(笑)。
大げさにアニメ調にしても見た方に納得していただけるクオリティ、そして009ならではの表現になるように努力しました。
009に対する知識は、実際の作品作りには役に立ちましたか?
柿本監督とのやりとりは非常にスムーズでした、原作のコンセプト、キャラクターの特性はスタートのときから共有できていましたので、作業プロセスはストレスもなく非常に楽しいものでした。
シリーズ全話、ディレクションしていただいたと聞いています。
正直、すべての作業が終わってよかったです(笑)。
原作が誕生してから今年で53年を迎える「サイボーグ009」シリーズ。いまだ若い世代のクリエイターによってリメイクされながら、新たな作品が生み出されています。映像化50周年作品でもある「CYBORG009 CALL OF JUSTICE」、そこに携わられたクリエイターの技術や想いも、ぜひ感じていただければ幸いです。