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「マンガは森羅万象を表現できる萬(よろず)画である」

かつて、石ノ森章太郎は、そう宣言した。マンガは、“学ぶこと”だって、エンターテインメントにできる。今でこそ学習マンガというジャンルは珍しくないが、それを世に知らしめたのは石ノ森章太郎こそがパイオニアだった、とも言えよう。科学や歴史の物語にワクワクしたり、偉人の生き様や社会の裏側にフムフムとうなずいたり。子どもに、大人に、あらゆる世代に「ミて、シる楽しさ」を伝えた萬画たち。年末年始、学ぶことの楽しさを、人の世の深淵を、萬画で探ってみませんか?

S・Pハーレー

(『1年のかがく』学研 連載)

 

小学校に入学したばかりの子どもに、楽しく「かがく」に興味を持ってもらおうと、石ノ森が腕によりをかけた作品です。昆虫の生態や、人間の体のこと、化学反応、毛細管現象など、科学マンガとして大人が読んでも面白い作品となっています。宇宙をまたにかける犯罪者、ドクター・ベルを追って地球に来たスペースパトロール(S・P)ハーレー。悪がしこいドクター・ベルは、ハーレーの追跡の手を逃れて悪いことを続けていきますが、学習内容に合わせた事件が起こってゆくのです。

チックンタックン

(『5年の科学』『2年の学習』等 学研 連載)

チクタクだいぼうけん
(『1年のかがく』学研 連載)

チクタク大冒険
(『5年の科学』学研 連載)

アール星の王子チックンが、帽子型ロボットのタックンをお供に連れて、地球のことを勉強しにやってきた! チックンは地球での出来事がなんでもかんでも不思議で面白い。勉強のはずがつい羽目を外して遊び始めてしまう…というドタバタありの楽しい「学習マンガ」です。S.Pハーレーの好評を受けて連載され、アニメ化もされました。さて、チックン王子は地球でなにを学ぶのでしょうか?

フィンピーとボク

(『中日新聞』中部日本新聞社 連載)

10歳の少年・雨宮アキラは、世界的に有名な海洋学者の父・雨宮連太郎とイルカの研究のためにドルフィン島にやってきました。アキラは島で、フィンピーというテレパシーで会話のできるイルカと、少女リーナと友達になった。初めはフィンピーのことは大人たちに内緒にしていたが、イルカを軍事に使おうと研究している国のスパイ、ドクター・ギャリソンの息子ヒラリーによって知られてしまったのです。

息詰まる逃亡劇。追手から逃げるためにアキラとフィンピー向かったのはバミューダ海域。そこで観たものは……!? イルカなどの海洋生物の事も知ることが出来つつ、さまざまな物語の「謎」に引き込まれる、連載当時は新聞にカラーで掲載された、美しい描写の海洋冒険ロマン萬画です。

石森まんが学園

(『少年キング』少年画報社 連載)

今も昔も変わらない「まんがづくり」の基本がわかる!まんが家になりたい(?)子供たちを集めて、石森章太郎は「まんがの学校」を始めました。お話はギャグテイストで進んでいくが、授業としてのまんがの描き方はとても分かりやすく、役立てることだできるものばかり。絵を描くためのデッサン、クロッキー、デフォルメなど技術についての話は実例を挙げてわかりやすく解説している。また、「描き方」だけでなく、「アイデア(ストーリー)の作り方」に関しては、基礎の基礎になる“起承転結”を詳しく説明した後に、「サイボーグ009」をサンプルに、話の組み立てかたをていねいに説明しています。

マンガ家入門

(秋田書店 描きおろし単行本)

「ライバルのマンガ家を育てるために書いた本。そう言っても過言ではないほどに、現在活躍している多くのマンガ家がこの本を読んでいたと語っている」と石ノ森本人が述べたくらい、現在活躍する多くのマンガ家が「影響を受けた」と口を揃えるマンガ家を目指すための入門書。

マンガを描き始めた少年時代から、トキワ荘の仲間たち、スランプ、そしていくつものヒット作を出し、なお新しいものを目指す気持ちを語った「自己紹介」。「龍神沼」などを例にとってコマごとの意味を含めてくわしく解説する「テクニック」。マンガの道具から描き方、アイデアの出し方、話のまとめ方などの質問に答える「マンガ家入門A~Z」。時代が変わっても十分に通用するマンガの描き方の指南書として、今のマンガ家志望者、マンガファンに読んでいただきたい一冊です。

マンガ家入門

(秋田書店 描きおろし単行本)

「ライバルのマンガ家を育てるために書いた本。そう言っても過言ではないほどに、現在活躍している多くのマンガ家がこの本を読んでいたと語っている」と石ノ森本人が述べたくらい、現在活躍する多くのマンガ家が「影響を受けた」と口を揃えるマンガ家を目指すための入門書。

マンガを描き始めた少年時代から、トキワ荘の仲間たち、スランプ、そしていくつものヒット作を出し、なお新しいものを目指す気持ちを語った「自己紹介」。「龍神沼」などを例にとってコマごとの意味を含めてくわしく解説する「テクニック」。マンガの道具から描き方、アイデアの出し方、話のまとめ方などの質問に答える「マンガ家入門A~Z」。時代が変わっても十分に通用するマンガの描き方の指南書として、今のマンガ家志望者、マンガファンに読んでいただきたい一冊です。

三国志

吉川英治の名著『三国志』を石ノ森タッチでマンガ化。このたび新装リニューアル版で再発売が決定。群雄割拠のきっかけとなった「黄巾の乱」から、劉備、関羽、張飛による志をひとつにする義兄弟の「桃園の誓い」、天才軍師・諸葛孔明を迎える「三顧の礼」、曹操を追い詰めた「赤壁の戦い」、孔明による魏・呉・蜀の「天下三分の計」、そして…。

他とはまた違う迫力ある描写で、日本でも根強い人気を誇る不朽の歴史大河ロマンを味わってください!

 

古事記

(『マンガ日本の古典』中央公論社 描きおろし単行本)

 

言わずと知れた「日本最古の書」を、石ノ森らしい笑いをまじえた大胆な演出で現代に甦らせた意欲作です。天の命を受けたイザナギとイザナミによって日本の国土と多くの神々が産まれた「国生み」から、スサノヲの蛮行に怒り天の石屋戸に隠れたアマテラス、高天原を追放になり下界に降りヤマタノオロチを退治したスサノヲ、因幡のシロウサギを助けたオホクニヌシ、さらにウミサチビコ、ヤマサチビコ…と馴染み深い日本の神話にまつわる、そうそうたるエピソードが満載。難読神名が多く文章だけでは理解しにくい「日本のはじまり」が堪能できます!

芭蕉

(『コスモコミック』サンポージャーナル 連載)

 

松尾芭蕉の「謎」を深追いしていた石ノ森章太郎は、いまわの際にいる芭蕉の「悪夢」を通じて本人と異次元からコンタクトできるように…。稀代の俳聖は忍者だったのか?大胆なコマ割りと演出、石ノ森ならではの迫力あるアクションシーンが、さながら映画のように単なる芭蕉伝を越えて訴えかけてきます。語られなかった記憶を通じて、その知られざる一面を掘り起こす未完の意欲作。まさに歴史SFサスペンスともいえるでしょう。

北斎

(世界文化社 描きおろし単行本)

 

名を改めること30回。居を改めること90回超。日本が誇る天才画家として、その名を世界に轟かせる“HOKUSAI”こと葛飾北斎の生涯に、石ノ森章太郎が挑んだ作品です。

江戸後期の貸本屋に生まれ育ち、家の手伝いもおろそかになるほど絵に夢中になり、木版彫りの仕事を経て絵師勝川春章に師事。幾度かの改名ののち、「葛飾北斎」を名乗るものの、当時は無名。そこで北斎がとった行動は…!? 大胆にして繊細。売れっ子にして赤貧。絵の研鑽は生涯飽くことなく続き、印象派の画家たちをはじめ音楽家など西洋の芸術家にも多くのインスパイアを与えた不出生の天才“画狂老人”の人生に驚嘆することでしょう! 

平賀源内『解国新書』より 七つ目小僧

(『ビジネスアクション』双葉社)

 

平賀源内が田沼意次のほんとうの姿を書き残した『解国新書』なる書物が発見された!?

若き女性編集者の緑は、大学時代の「古文書同好会」の山之内先生から突然電話で呼び出され、悪評が定説となっている若き平賀源内と田沼意次の出会いから交流を、表位通貨制度の導入や蝦夷地(北海道)開発など、史実に即した形で解き進めていく。

政治とは?経済とは?意次は毀誉褒貶かまびすしいアノ政治家に似ている?いまの世の中に必要な問いが軽妙なストーリーに散りばめられた、石ノ森らしい知的好奇心をくすぐる作品です。

沙流譚 -漢書-

(『ビッグゴールド』小学館)   「ここで洗濯をしていたら神が降りていらして…」 不思議な夢とともに身ごもった母と農夫の父のもと、中国東部の片田舎の劉家に生まれた季(のちの劉邦)は、「私には天命がある」と言い残し、幼馴染の綰とともに旅に出る。世は秦に統一されるが、人心は憔悴しきっていた。 街でたまたま見かけた始皇帝の隊列。その姿に、「次は俺の番だ!!」と意を決する劉邦と、すれ違った青年は、同じく天下を狙う若き項羽だった…。「項羽と劉邦」として有名な物語を石ノ森の演出で血湧き肉躍る物語に仕立て上げた作品。

グランド・ツアー 英国式大修学旅行

(『ウインズ』日本航空文化事業センター 連載)

 

学び、修める。それはいわば「修学旅行」の本来の姿かもしれません…。18世紀の終わりごろ、イギリス貴族の子息は、「グランド・ツアー」と呼ばれる卒業旅行が流行しつつありました。学業の仕上げにヨーロッパ各国を旅した卒業旅行。期間は数ヶ月から数年…。

このツアーには、お目付け役として家庭教師などが付き添うことが慣例なのですが、そもそも彼ら自身が「外国」をよくしらない。つまり最初から約束された「珍道中」であったのでしょう。

渡航地で出会う見ず知らずの文化やしきたり…。その意味で、このマンガを読むだけでも、この時代のヨーロッパ事情や、修学旅行本来の目的を考えることができるだけでなく、大人にとっても世界をシンプルな目線で見る準備ができる。その意味では、世界に足を踏み出す前に必須の登竜門ともいえるかもしれません。

不倫学入門

(扶桑社 描きおろし単行本)

誘ったのはどちらか。誘われたほうは罪ではないのか。つまり、不倫とは何なのか…。10組の実話をもとに描き上げた「あるある!」「ありそう…」と心に刺さるマンガと、不倫にまつわるコラムで構成されています。

道ならぬ恋とは知りながら、溺れていく人間の心理…。自分は大丈夫!と思いながらも、流されていくケースの多さに、あらかじめ予防線を張っておいたほうがいいのか?もしくは、気づかないうちに不倫の甘い沼にハマっているのか?弁護士や法律がからんでくることは、煙が立つ前に頭の片隅に入れておいたほうがいいのか?

他人の出来事とはいえリアルに描かれたそれぞれのエピソードは、読者が考えさせられる内容にもなっているはずです。

 

マンガ日本の歴史

(日本経済新聞社 描きおろし単行本)

 

マンガを「萬画」と称するきっかけとなったシリーズ。それまで覚えることも多く難しいイメージもあった「日本の歴史」を、全55巻のマンガ形式で解き明かし、知ってもらおうとした意欲作。以降、さまざまな形で、日本の歴史をマンガ化する試みが続いているが、その走りとなっています。

「秦・漢帝国と稲作を始める倭人」から「高度成長時代」に至るまで、この国の歴史、その中で重要になる出来事がマンガでリアルに伝わってくる細かい描写は必見。もちろん興味のあるところから読んでも楽しんでいただけます。

マンガ超電導講座

(『QUARK』講談社 連載)

 

世界の研究者が新たな発明を求める「超電導」。石ノ森の飽くなき好奇心が新たなかたちで結実した萬画です。1987年から1988年当時の知見をベースにしながら、その先見性、可能性に対する想像力は、さすが石ノ森と膝を打つクオリティ。それから30年。超伝導という分野はどれほど進んでいるのか。そこまで含めて考えるきっかけにもできる一冊です。

マンガ日本経済入門

(日本経済新聞社 描きおろし単行本)

 

1980年代、日本経済の激動期を描き、TVアニメ化もされた作品で、発表以降、これとは別の「経済」をテーマにした様々なマンガが、他のマンガ家や出版社からも数多く出版されることになります。

本編は、米国のフィリップ&パ-カー会計事務所が日本での為替関連のコンサルティング業務を強化するために組織した「アン・テイラー編」、経済企画庁のキャリアでありながら、愚直な正義感を抱えつつ、日本の官僚と族議員のつながりを描く「五十島健太編」、1987年の日本の経済状況を、米国の銀行マンハッタン・トラストの上級調査員を絡めた物語として説明する「松本佐和子編」からなります。

3人の主人公の異なる視点から、日本の経済について学ぶことができるでしょう。

マンガ世界経済入門

(日本経済新聞社 描きおろし単行本)

 

日本経済だけでなく、世界の中での経済にシフトした日本の状況をマンガで解説する新しい試みもスタートしていました。

事情は刻々と変わるものの、諸外国との経済事情を含む外交、という中での日本のあるべき場所や求められる立場など、石ノ森の解釈も含め、マンガで解説しようとした極めて珍しいシリーズ。

経済の新しい地平を見るきっかけにもなるかもしれません。