「リュウの道」第3回

少年マガジンで連載が始まった当時、それまでマンガは少年が読むものでしたが、その概念が壊れ始めた時期でもありました。それは、ビッグコミックという大人が読める青年誌が登場したからです。同じ頃、マンガ以外に“劇画”と呼ばれるジャンルも登場します。

僕はそのおかげだと思っていますが、この頃の石森の描く作品は、急にタッチが大人っぽくなっているのです。特に青年誌のビッグコミックで連載されていた『佐武と市捕物控』や『馬がゆく』などは劇画調の大人向けのタッチになっています。

青年誌ならわかるのですが、少年誌でも作品のテーマによっては、意図的に大人っぽい劇画調のタッチにしているような気がします。『サイボーグ009』を追っていけば一目瞭然なのですが、「天使編」や「神々との闘い編」の近辺。マンガ版の『仮面ライダー』もそうですね。009の神を扱ったテーマや、仮面ライダーでさえ、既存のヒーローとは違うテーマ性を打ち出そうとしているからこそ、劇画タッチで描いているんじゃないでしょうか。

もちろん、『リュウの道』もしかり。そのテーマ、メッセージ、表現や手法は、小学生に読ませようとして書いているとは思えません。当時の少年マガジンは、『あしたのジョー』や『巨人の星』など、子供向けというよりは青年受けしそうな劇画調のスポ根ものが受けておりましたが、それにしても、コアなSFファンが支持をするほど高尚なSF叙事詩を少年誌で連載した作家のチャレンジ精神も感嘆に値しますが、それを受け入れ、しかも中座させることなく最後まで完結させた編集部の勇気と寛容さに、惜しみない拍手を送りたい気持ちです。凄い、凄すぎます。

ここまで『リュウの道』の事を書いて、まだ読まれていない方は読みたくなりましたか?ただ、僕が言っている『リュウの道』は、当時連載をしていた原版、もしくは、その原版のまま単行本にした物のことを指します。読んでもらうなら、是非それを読んで貰いたい。余りにエグくて、世間の声もあったのでしょう。再版では改稿を余儀なくされたからです。『リュウの道』を綴ってまいりましたが、次回で最後です。その思いを、最後に吐露したいと思います。