「マンガ家入門」 前編

誰でしたっけねぇ…確か、石森のお弟子だったか、他のマンガ家の方だったか…、いや、全くマンガとは無縁の方だったか…、とにかく複数の方に言われたんですよ。「この本で、みんな勘違いした」(笑)「先生は本当に罪な人だ」と、もちろん笑いながらですよ。文字だけ追っていくと、とても酷い言葉に聞こえますが、皆さん、一様に笑顔で僕に伝えます。

今でこそ、マンガが世界的なカルチャーとして確立しておりますが、当時は、マンガそのものが、まだまだ世間に受け容れてもらえなかった時代に、マンガ家になる為の入門書を、石森は書きました。この先、石ノ森著作で大ヒットした「マンガ日本経済学入門」に続いていく、石森の入門書というジャンルのパイオニアに違いありません。もちろん、日本では、いやもしかしたら、マンガ家になる為の入門書を書いたことは、世界で初めてのことかもしれません。道具を揃えるところから、筆やペンの使い方、プロットの立て方や、ストーリーの作り方まで、石森本人の持つ知識や経験を、惜しみなく吐露してくれています。

意地の悪い人ですとね。企業秘密だとかなんとか言っちゃって、ライバルが増えるから教えないよ。なんてこともあるのですが、自分の分かることは、これからマンガ家を目指す人に、全て教えたいという姿勢は、つくづく石森の人柄の良さを物語っていると思いますね。

この頃から、決して目先のことではなく、マンガという娯楽と職業に市民権を得るための努力とマンガで出来る無限に広がる可能性を模索し始めたような気がしています。マンガ家の入門書は、この本が初めてのはずですが、最初なのに、もはや完璧なのですよ。突っ込みどころがなく、かゆいところまで手が届くほど、細やかに、そして徹底して親切に伝えていきます。マンガ家でもない僕も、この本に多大な影響を受けたことは、また次回に。