「酔いどれ探偵鉄面クロス」2

僕の中で、酔っぱらいのヒーローと言えば、水島新司先生の『あぶさん』を真っ先に思い出します。近年は超人的な活躍をする人になりましたが、最初は、一振りにかける代打屋という設定が渋くて、そこに人生が見えました。ビッグコミックという青年誌だから風情があったのですが、主人公が酔っぱらいの設定を堂々と少年誌で描くのも、石森章太郎という萬画家しか出来ない技でしょうか。

『木枯し紋次郎』がいつも爪楊枝を加えているように、この主人公は、タコの足を加えています。一発で酔っぱらいとわかる、この細かいアイテムが、実は自分はとても好きで、『ドカベン』の岩鬼が、いつも長い葉っぱを加えていたり、プロ野球選手になっても学生帽を被っているのも、マンガだから許されるディフォルメ。

それが出来るから、マンガは素晴らしいのです。鉄面という設定にした為、その上に被るマスクを変えることによって、色々な顔に化けられるのです。多羅尾伴内のような、別人に変装出来る仕掛けまで計算していたのは流石ですね。

この『酔いどれ探偵鉄面クロス』は、読み切りとして数回発表しておりますが、後に、『鉄面探偵ゲン』とタイトルを変えて、読み切りの後、連載を始めます。なぜタイトルを変更したかは、やっぱり酔いどれで、探偵で、鉄面のうえにクロスしているのがクドイと思ったのか(笑)
いえいえ、それはきっと違いますね。

『鉄面探偵ゲン』のことも後で触れさせて頂きますが、明らかに作品の方向性を変えているのです。僕が読後に感じたのは、このクロスは、どちらかというと、探偵という設定のヒーローものを描こうとしていたような気がいたします。『鉄面探偵ゲン』の方は、、、、これは、また次回にお話ししましょう。