「さるとびエッちゃん」前編

この作品、週刊マーガレットの創刊号で、連載が始まりました。雑誌と共に、エッちゃんも産声を上げました。
創刊する少女マンガ誌にギャグマンガを描こうとする事は、とても勇気のいることだと思います。
やはりギャグマンガと言えば、少年誌が定番ですから。
でも、“実験無くして、進化無し”、何事にも挑戦する作者ならではのチャレンジだったと思います。
その挑戦が生んだ主人公は、マンガ史のなかでも稀有なほど、痛快で愛くるしい、人の心に残り続ける素晴らしいキャラクターなのです。

「おかしなおかしなおかしなあの子」というタイトルから、「さるとびエッちゃん」と変わってからも、「サイボーグ009」の如く、雑誌社や新聞社を変えながら連載が続きます。それは、多くの大衆から愛されていなければ成しえない事です。その後、テレビアニメにもなり、今でも主題歌が直ぐ歌えるほど印象に残り続けています。「♪どうしてエッちゃん、なぜだかエッちゃん、変だな、変だな、エッちゃん🎶」何故か、この歌のフレーズを耳にすると、甘酸っぱい切ない気持ちになります。

 

猛スピードで走り、怪力、動物と話が出来るなど不思議な能力を持つ、自称猿飛佐助三三代目の子孫。そのエッちゃんを取り巻く騒動を描く物語。小柄で大きな瞳、「ドラえもん」や「アンパンマン」のように、子供でも書きやすいキャラクターは、子供受けする必須事項です。こんな愛くるしい顔をしているのに、言葉を話すと、訛りがあるのがまた堪りません。途轍もないことを起こしても、「エヘ」とお茶目な一言で済ましてしまう女の子。口角が上がるくらいしか表情を変えずに、淡々と事を起こすことが、逆に魅力的なような気がいたします。「ちゃんちきガッパ」という石森ギャグマンガの主人公でもそうなのですが、このエッちゃんも、クリクリしたお目々でキョトンとしながら平然と凄い事をやり、周囲があたふたする構図。漫才で例えるなら、主人公がボケで、周囲がツッコミとなるのでしょう。

 

この作品は、支持をされているからこそ、多雑誌での連載とテレビアニメ化が実現されたわけですが、個人的な想いを言えば、オバQ、おそ松くん、バカボン、ドラえもんのように、歴史に刻印されるほどの強烈なキャラクターに成りえる主人公だと信じています。今の時代だからこそ、エッちゃんが日本人の心を和ませて欲しいのです。

後編を読む…