大型ホテル・プラトンを舞台に繰り広げられる様々な人間模様を描いたヒューマン・ドラマ「HOTEL」がコンビニコミックとして発売されます。初回となる今回は、HOTELの始まりにふさわしい色濃いストーリー満載です。
タイトルにもなった「女優」では、脚光を浴びる“女優”と“普通の女性”との間で揺れる心情が思わぬ行動となり・・・、名作と言われる「ネバーチェックアウト」では、ある老詩人の純粋な愛の姿をHOTELに映し出し、「109の鐘」では、料理人見習いだけでなく、新米の頃誰もが感じた事のあるエピソードが・・・
HOTELの主人公は、特定の誰かではなく、そこに関わる人々です。HOTELでのそれぞれの物語をお楽しみ下さい。
また、今回は、この企画をプロデュースしたリイド社のご担当者にコメントをいただいております。作り手の思いが少しでも皆様に伝わる事が出来れば幸いです。
リイド社ご担当者さまよりのコメント
石ノ森章太郎という存在は、今なお僕の心の見えないところにずっと居続けている。
石ノ森先生が描くその圧倒的な世界観に、小学校四年生の頃の僕は、すでに虜になっていた。
いつか大人になったら、こういう漫画を描きたい。そう純粋に思っていた。それが夢だった。
しかし年齢を重ねるにつれ、石ノ森先生の才能と自分のそれとの開きは、瞭然たるものとなっていった。
僕はいつしか、漫画を描くことをやめていた…
やがて僕は大人になり、漫画編集者という道を選んだ。
そして再び、大人の僕は大きな夢を描くようになっていた。
僕を育んだ「石ノ森章太郎の漫画をもっと多くの人に読んでもらいたい」というもの。
そんな折、石ノ森章太郎先生「HOTEL」でシナリオを担当していた大石賢一さんと、
とある仕事がきっかけで繋がりを持てた。
大石さんと色々話をしていくにつれ、隠しきれない高まっていく気持ちがあった。
「石ノ森先生の漫画を、僕が再び編集して、世に出したい」。
その想いを具現化するのに、うってつけだったのは「コンビニ本」だった。
だれでも手軽に、しかも安価に、石ノ森章太郎の世界を楽しむことができるからだ。
そこから紆余曲折を経て、大石さんや石森プロのご協力のもと、
この度コンビニ本「HOTEL」を発行するに至った。
1989年に石ノ森先生は、「漫画」を「萬画」とする宣言をした。
その主旨の中に「画は万画(よろずが)です。あらゆる事象を表現できるからです。」というものがある。
漫画で表現出来ないものなどない。そう豪語した。
この度、発行する「HOTEL」は、石ノ森先生が「萬画」の表現の限界まで挑んだ意欲作だと思っている。
「HOTEL」では、想像を絶するような色々な事件が起こる。
逆に言えば「HOTEL」ほど、何が起こるかわからない場所はない。
「HOTEL」という存在自体が、もしかしたら「萬画」そのものかもしれない。
「どんな事象が起きても、それを再現してみせる。」
読み手としては、石ノ森先生が自身に課したそのギリギリの挑戦を、毎回果たしているかのように思えた。
「萬画」の真骨頂ともいえる「HOTEL」。
石ノ森先生が飽くなき挑戦者だったことが、読んでいただければわかるであろう。[/vc_column_text]
*今回担当編集している齋藤紘史氏の「HOTEL」企画書の一部
「HOTEL」リイド社 定価500円+税
漫画:石ノ森章太郎 シナリオ:大石賢一